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Dr.イワサキ

Dr.イワサキプロフィール
岩崎輝雄(いわさき・てるお)

1933年島根県松江市生まれ。協会監事・学術部会代表幹事/北海道大学 健康・予防医学 教育学博士/健康評論家。
温泉健康法として「クアハウス」、森の健康法として「森林浴」を発案、企画・運営指導に携わる。その間、一貫して厚生省、農水省、環境省の補完事業を担当。レジオネラ菌対策、シックハウス対策にも係わっている。
著書に「温泉と健康」(厚生科学研究所)、「クアハウスの健康学」(総合ユニコム社)、「森林の健康学」(日本森林技術協会)などがある。

Dr.イワサキの今月の水のお話し
協会のご意見番「Dr.イワサキ」こと岩﨑教授が、ちょっと気になること、不思議に思うこと、愉快な出来事などなど、毎月楽しい内容をお話ししていきます。

Vol.19◆-男性老人に密めたる属性を告白-
    “行方定まらない道すじ”に配慮を     

 ものに対して品定めをするには色々な方法がある。原子構造とか、X線を浴びせるなどして立体的に属性を編み出すなどだが、フランスの哲学者デカルトは人間では精神の属性とは思惟・考えと簡単に片付けている。生命科学からは複雑多岐で判らないことが人の精神であり、これは多くの生命科学者の本音だ。
 さて、自分が属しているから感じるのか、高齢者には何かと風当たりが強い今日この頃だ。老人臭さ、老人の言動等、若者夫婦同居の我が家でも遠慮のない息子の指摘に激論が続く毎日だ。
 これまで、家庭で、職場で、公衆公共の男性トイレを汚す珍事にこの老人属性理論を直視して見よう。男性トイレを汚す“おヒト”は老人男性だとする主犯説がある。実は頷ける根拠だけでなく、私の若い時分の体験からも是認出来るのだ。
 男性の尿道は加齢とともに弾力性が衰え、当然腹圧も弱くなり、つまり太めのゴム管が丁度空気の抜けた自転車のチューブ状の出口の形をつくる。ポンプ力も水量も低下し、放水も、違う2筋の方向に、しかも極端には90度の2方向もある。
 老人男性は多くを語らないし、また泌尿科の医者もこれには触れようとしないのだ。この老人男性の機能上の属性は、90度違う他の流れがあるとすれば、便器の床の汚れは当然の結果である。
 この老人男性トイレ行動でみる、密かなソソウには当然年寄り自身がもっと注意すべきだが、周囲も老人男性の“特異な属性”に理解をして欲しい。実は後期高齢者の筆者もホテルでこれを経験し、そっと紙タオルで床を掃除した経験もあるからこそ体験話として特に紹介したい。
 この話には未だに息子夫婦と家内から疑いの眼差しが寄せられているが、この頃は腰をやや屈めて懐柔している今日この頃だ。
 今年まで、13年間文芸春秋の巻頭随筆を続け退筆した随筆家の阿川弘之の随想に“全員一歩前進へッ!、帽子を高く振れ!”と号令を掛けられた海軍兵卒時代の言葉があり面白い。軍艦観閲行事に全員が整列して艦橋から手を振る話ではない。帝国海軍のトイレの多くに教えとして掲示していた掲示文であるとの話を思い出した。お年寄り男性諸君!、“元気良く、方向を定め帽子を丸く握って、振ろうではないか?!!”。
 とはいうものの、便器も洗面所も清潔に、事の終わりには必ず手を洗う心掛けを持つことは我々老人男性ばかりではないはずだ…。では、また。

(1102-019)